定衣定食定住

決まった服を着る.
いつも同じ服を着る.
それを「定衣」という.
禅寺のお坊さんや,制服のある職場や学校,シリコンバレーのエンジニアなどが実践している.
毎朝服を選ばなくてよいようにしている.
選択する行為は負担で,
1日に選択できる回数には上限があるそうだから.

同じような概念に「定食」がある.
毎日決まったものを食べる.
いつも同じものを食べる.
禅寺の精進料理,経営者の朝食ルーティン,シリコンバレーのエンジニアもまた実践している.
これも毎日の選択回数を減らすのが目的.
毎朝決まって鮭茶漬けを食べるという話を聞いたことがある.

私も毎日ほぼ決まったものを食べている.
スーパーで買う食材はほぼ変わらない.
卵,魚,大豆製品,発酵食品,アーモンドミルクなど.
グルメではないし,冒険もしない.
食事して健康を害するなら本末転倒だと思うからだ.

私たちのほとんどは「定住」している.
決まった場所に住む.
いつも同じ家で暮らす.
生活には変化があまりないのが普通なのかもしれない.
変化が激しいといわれる時代.
生活を振り返ってみると本当は大して変わっていないのだろうと思う.

細胞食のすすめ

人間は細胞でできているので,
細胞を食べていれば健康を保てる.
という話し.

野菜や肉魚に大豆や菌類をまとめて食べるのは大変である.
食材の調達や保存,そして調理を毎日のようにうまくやるのは大変.
献立を簡単に探せるようになったとはいえ.

食品の大部分が昔は細胞だった.
小麦粉は小麦だった.
砂糖はサトウキビだった.
米は稲だった.
細胞である状態を壊し,おいしい部分だけ取り出したのだ.

このように都合よく加工した食材が安く入手できる現在,
細胞をそのまま食べる機会が減り,
重宝されるようになった.
サラダバーが人気を集め,菌活なんて言葉も流行った.

細胞をそのままの姿で食べると,なんだか満腹になる.
依存性が低いからだ.
おいしい部分だけ取り出した食材は,おいしいのでまた食べたくなる.
もう一度食べたいというイメージが離れなくなり,食べることになる.
リピーターが減らない.

おいしいものばかり食べずに,
週の半分以上は質素に食事を済ませば,
おいしいものを本当においしいと思えるうえ,
毎日のようにおいしいものを食べるのは少し贅沢だから,
と考え直せる.

毎日おいしいものを食べるのではなくて,
ときどきにすることで,
感動と健康を得られるうえ,経済的でもある.

おいしいものはときどきにしよう.
普段は細胞を食べよう.